統合失調症について

現在、薬学生の実習生が当薬局に実務実習に来ており、薬の勉強だけでなく病気の理解もして欲しい気持ちで統合失調症についての勉強会をしました。

ブログを通じて、患者様にもお伝えできればと勉強内容を少しだけこちらにも記載させていただきます。

以前は精神分裂病と呼ばれていた疾患ですが、症状研究もどんどんされてきており現在は統合失調症という病名で呼ばれ、遺伝的要因が関与が示唆されている精神疾患と考えられています。

病気の原因は分からず、いくつかの仮説があります。

ドパミン仮説:中脳辺縁系のドパミン神経の機能亢進による陽性症状。

グルタミン酸仮説:大脳皮質のグルタミン酸作動性神経系の機能低下による陰性症状。

セロトニン仮説:セロトニン作動性神経の異常による陰性症状があります。

陽性症状と陰性症状とは。

陽性症状:幻覚、妄想、自我障害など

被害妄想や関係妄想(自分に関係ない事を関係あるように思ってしまう)ようなものが代表的な症状です。

陰性症状:意欲・自発性の低下、感情麻痺など

喜怒哀楽がなくなり表情が乏しく、引きこもりになるような様なものが代表的な症状です。

10代後半から30代前半で発症する人が多く、発病率は日本では0.85%あり、破瓜型、緊張型、妄想型というような型があります。

破瓜型:思春期で発病し、意欲減退、思考障害などが見られ予後は不良。

緊張型:20代前半で発病し、興奮や昏迷などが見られ予後は比較的良好。

妄想型:10代後半から30代で発病し、妄想、幻聴、幻覚などが見られ予後は良好な場合も不良な場合もあり。

1952年にDelayらによりクロルプロマジンという薬剤が統合失調症治療薬として導入され現在でもこの薬剤は使用されていますが、これを基準比較した、より効果のある薬剤が今ではたくさん発売されています。

代表的な薬剤ではハロペリドール、リスペリドン、オランザピン、クエチアピンなどがあり現在ではこれらの薬剤により統合失調症患者さんの開放化、社会復帰が進み、治らない分裂病から、治せる分裂病になってきています。

症状悪化してからの受診では予後も悪い為、早めの受診をお勧めさせていただきます。